茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~ -5ページ目

映画「再会の街で」

原題:Reign Over Me
何度も出てくる"ワンダと巨像"はプレステ2のゲーム、どこか懐かしげな"鍋焼きうどん"ののぼり旗も登場・・・心を閉ざし重く憂鬱な人生、過去からの再生・・・

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歯科医のアラン・ジョンソン(ドン・チードル)が、ある日街で見かけたチャーリー(アダム・サンドラー)の姿、かつてのルームメイトが気にかかり車を降りて追いかけるけど気付いてくれないまま見失う、けど、2度目の出会いでつかまえて積もる話をしようとしても、すっかり忘れられた存在でガッカリ、だけど、チャーリーの問題のほうがとてつもなく深刻だった。なにしろあの9.11同時多発テロのボストン発旅客機に妻と娘が乗っていたのだから・・・保険金やら政府の弔慰金やらで生活には困らないけど歯科医は止めてしまいゲームと音楽に没頭し、また、過去の過ちを悔いて台所のリフォームに精を出す日々、あの日よりも前のことなど記憶の彼方に置き去りにされ、それほどに彼のショックは大きく何年もの間彼を慰め救い出すものさえ現れなかった。
アランにも職場でのストレスや家庭での倦怠感、妻への嫌悪感みたいなものがあり軽く鬱積した状態でチャーリーとの旧交を温めることに意識が向いたのだろうけど、結果的には彼の閉ざされた心を救い出すことに情熱を燃やすことになり、そして新たな自分を見つめ直すことにもなる。それはまさに友情が閉塞感を打開したということだよねぇ、素晴らしいお話です。ところで途中で登場するドナ(サフロン・バロウズ)の行動はとっても怪しいし、彼女を見るチャーリーの眼差しもなんだか怪しくてちょっと笑えそうシーンだけど、もしかしたら結局は友情よりも女性との愛情の力の方が大きかったといえるかもしれません・・・
(wowow)  再会の街で

映画「ベッドタイム・ストーリー」

原題:BEDTIME STORIES
なかなか良かったあの映画「もしも昨日が選べたら」に似た雰囲気を醸し出している、けれど、どちらかと言えば"もしも明日が選べたら"ということなのかも~

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ホテル設備メンテナンス係のスキーター(アダム・サンドラー)にとって、かつて父(ジョナサン・プライス)が話してくれた"ベッドタイム・ストーリー"と、父がホテル王のノッティンガム(リチャード・グリフィス)と交わした口約束が生きる支え、いつかホテル支配人にとの希望を持って、今日も元気に働くのだが、チャンスは一向にやってくる気配がない・・・そんな時、姉のウェンディ(コートニー・コックス)からパトリック(ジョナサン・モルガン・ハイト)とボビー(ローラ・アン・ケスリング)を預けられ、小学校教師のジル(ケリー・ラッセル)と共に子供達の面倒を見ることになる。
さすがにこの物語に、さほどの毒や奇抜さは無く、ほとんど穏やかなもの、空からガムが降ってきた時には、えっこれってファンタジーだっけ、それとも神様が起こした奇跡って思って、ちょっと驚いてしまったけど、あとはそれなりってカンジで、笑いも涙も、もうちょっとって印象で惜しいです。それでも、スキーターは大富豪への道が約束される超豪華巨大ホテル支配人の座には固執せず、ジルとともに小さなモーテルを営むという慎ましやかな幸せを選んでハッピーエンド、これもまた子供達に対するベッドタイム・ストーリーの教訓なのでしょう。

ベッドタイム・ストーリー

映画「リリィ、はちみつ色の秘密」

原題:The Secret Life of Bees
アメリカで1964年といえば7月2日の公民権法制定、ジョン・F・ケネディ亡き後ジョンソン政権下で成立、キング牧師も登場する時代背景に~様々な愛の形~

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原作は全米で500万部以上、映画は全米3位スタートながらクチコミで広がり全米ヒットチャートトップテンの6週連続を達成したという・・・
あの日の記憶、4歳の脳裏に刻み付けられた忌まわしい出来事、母親に向けた銃が暴発したあの日の記憶が、14歳の夏を迎えた少女リリィ(ダコタ・ファニング)の心を今なお苦しめる、粗暴な父親レイ(ポール・ベタニー)からも逃げるようにして、今は亡き母親の愛と面影を求めメイドのロザリン(ジェニファー・ハドソン)とともに家を出る。旅の途中で見つけた黒い聖母像のラベルのはちみつが導くままに着いたところは養蜂場、オーガスト(クイーン・ラティファ)、ジューン(アリシア・キーズ)、メイ(ソフィー・オコネド)の三姉妹と出会い、彼女達の、大地のように包み込む愛、頑固にひねくれた愛、優しすぎて傷つきやすい愛、様々な愛に触れ、そして母の愛を知る・・・
一番思ったのは映画のテーマや背景よりも、ダコタ・ファニングの成長振りですね、蜂蜜の瓶を壁に何度も投げつけるのにはモッタイナ~イって思うけど、14歳の彼女にはもう金切り声のイメージはすっかりなくて、少女でありながらも十分オトナの女性の風格さえ漂わせている気がする。内容的に気になったのは、嫌われ者になってしまった父親の愛・・・最後に思い切り良く、せいせいするよと言い放った父親の娘に対する愛情が切なく哀しくて、う~んって唸ってしまいそうになる。

リリィ、はちみつ色の秘密

映画「4ヶ月、3週と2日」

原題:4 luni, 3 saptamani si 2 zile
このタイトルは意味深というか、とっても直接的でそのものズバリでしょう、4ヶ月を越え5ヶ月近くともなれば、そんなことをしちゃあいけないのだろうけどねぇ~

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富国強兵、それが当時のチャウシェスク独裁政権下の国策なんだから、それはもう産めよ増やせよの世界で、避妊もダメなら中絶なんてもってのほかの違法行為、とはいえそれぞれに事情もあるわけで、ごく普通の女子学生オティリア(アナマリア・マリンカ)の身近なところでも問題は発生する。大学寮ルームメイトのガビツァ(ローラ・ヴァシリウ)が妊娠の過ちを犯し、オティリアが駆けずり回る羽目となる。恋人アディ(アレクサンドル・ポトチェアン)にお金を借り、中絶手術するためのホテルを確保し、闇医者ベベ(ヴラド・イヴァノフ)を出迎えに行き、果ては足りない堕胎費用を親友のためとはいえ自らの肉体で支払うなど文字通りの献身的な行為・・・
なぜそこまでできるのか、そんなことまでするのか、それほどに厳しい現実で助け合わなければ生きていけないということなのでしょう、ホテル室内での交渉シーンも緊迫感のある見所だけど、オティリアが駆けつけるアディの母親の誕生会シーンがホントにリアルだよね、親戚一同がまくし立てるおしゃべりの席の中央で話に加わらず、ただただ遠くを見つめるように無表情な彼女、アディの部屋で2人きりになっての会話シーンも日常的にありそうなことなんだけど、リアルに感じる。長い長い一日の終わりはホテルのレストランで安堵に包まれながらも放心状態かのような2人の佇まいが印象的です。
(wowow)  4 Months, 3 Weeks and 2 Days (2008)

映画「この道は母へとつづく」

原題:Italianetz
代償は愛かお金、友情または同情・・・母をたずねて三千里とまではいかないまでも、幾多の困難を乗り越え人々に助けられ列車とバスを乗り継ぐ旅に出る~

茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~-Italianetz 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~-この道は母へとつづく

孤児院で暮らす6才の少年ワーニャ(Kolya Spiridonov)、ロシア辺境の孤児院なのに幸運にも裕福なイタリア人夫婦に気に入られ、養子として迎えられることが決まる。孤児院のみんなにイタリアンと呼ばれ羨ましがられるけど、どうしても心に引っ掛かるものがある。それは同じように養子に行った友達の実の母親が後から孤児院に現れて、嘆き悲しみ列車に身を投げた事件があったこと・・・養子に行ったらもう二度と母親には会えないかも知れない、いてもたってもいられないワーニャ、だけど冷静にも彼はまず文字を覚え、そして孤児院の書類を盗み見て自分の生い立ちを調べ、ルーツを辿るために最初にいた孤児院を訪ねる。
一緒に母を捜そうと協力してくれた年長の少女イルカ(Olga Shuvalova)は列車に乗る直前で捕まってしまい、一人きりでの孤児院逃亡者となったワーニャは、イジメやかつあげにあいながらも、知恵を働かせて追っ手を逃れ、遂に目的地へとたどり着くわけなんだけど・・・実話をもとにしたというこの映画、"母をたずねて三千里"同様に母への思慕と人々の親切や優しさ、そして少年の勇気と機知に富んだ物語になってるよね、まぁ行動がやけに長期計画的だったり、瓶を割って自分の手首を傷つけたりと、ちょっと子供らしくないところもあるし、最後のシ-ンは少年の表情だけで母親の姿を観客に見せないやり方に、ちょっぴり不満が募ったけど、実際に6歳の少年がこんな切ない旅に出るなんて思うと、それだけでもう十分感動的です。
(wowow)  この道は母へとつづく